美容院のメニューで「ストレートパーマ」と「縮毛矯正」があるのはご存知かと思いますが、何が違うのか知ってますか?
僕が、お客さんからよく聞く回答がこれです。
・ストレートパーマは、髪をまっすぐにするもの
・縮毛矯正は、くせ毛をまっすぐにするもの
あなたもこれと同じ様な考えではありませんか?
どちらも「髪をまっすぐにする」という認識はあっても、正確に答えれる人は少ないように感じます。
ちなみに、この答えは、半分正解です。正しい答えは、「どちらも同じ」です。
どういう事なのか詳しく見ていきましょう。
ストレートパーマと縮毛矯正は名前が違うだけ
お店によって、ストレートパーマしかなかったり、縮毛矯正しかなかったり、両方のメニューがあったりしますよね?
しかし、これは呼び方の違いがあるだけで、「使用する薬剤・工程・効果」は全く同じなんです。
ですから、「髪をまっすぐにする」という認識はあっています!
ですが、何が違うのか?を正確に答えると「どちらも同じ」になるわけです。
しかし、そのメニューの名前に大きな意味はなく、お客さんにとって「目新しいもの」という印象をつけるためだけに過ぎません。
「新しいものは、今までよりも良いもの」と誰もが思ってくれるので、「ネーミングで商品を売る」というビジネス的な戦略です。
美容院において、メニューの名前というのは、本当に意味がないものなんですよ。
ですので、僕が経営している店では、基本的には「縮毛矯正」と表記していますが、お客さんからストレートパーマのオーダーが入れば「承知しました!」とすんなり施述に入ります。
お客さんから「ストレート」と言われれば、「ストレート」で対応し、「縮毛矯正」と言われれば「縮毛矯正」で対応する。
わざわざ、うちの店は「ストレートパーマ」ではなく、「縮毛矯正」しかありません。なんて言う必要はないですからね!
お客さんのオーダーは「髪をまっすぐにしたい」という事なので、名前にこだわる必要はありません。
「ストレートパーマ」と「縮毛矯正」の両方がある場合は、何が違うの?
両方のメニューが存在している場合は、何が違うのかという疑問があると思います。
この場合は、アイロン工程の有無で差をつけている場合がほとんどです。
髪をまっすぐにする場合、アイロン工程が最も重要な要素なのですが、これを飛ばして行うのが、ストレートパーマ。アイロンをする場合が縮毛矯正となります。
・ストレートパーマ・・・アイロンなし
・縮毛矯正・・・アイロンあり
つまり、ストレートパーマという名前の割には、髪をまっすぐにできるわけではないんです。
この辺が、すごくややこしいですよね。
なぜ、このようなメニューがあるのか?
これは、パーマ(ウェーブ)を取りたい時のためのメニューなんです。
簡単に言うと、「パーマ落とし」と言われているやつです。
でも、「パーマ落とし」というメニューを美容院で見かけた事がありますか?
僕は、見た事がないです!しかし、お客さんに説明する際に、この言葉を使う事があります。
メニューに「パーマ落とし」と書かない理由は、格好が悪いから・・・。
この他に理由がないと思います。確かに「カット・カラー・パーマ・ストレートパーマ」ときて「パーマ落とし」はなんだかダサい印象を与えますね。
しかし、お客にとっては不親切で分かりにくいですよね。
それに、両方のメニューがある場合は、当然、料金設定も違います。
お客さんは「髪をまっすぐにしたい」という考えのもと、メニューを選ぶわけですが、料金に差があった場合、少しでも安い方を選びたいという気持ちがあると思います。
薬剤を使用した分、髪が傷んでしまったという結果だけが残ります。
もちろん、このような事がないように美容師とのカウンセリングがあるのですが、こういった誤解を招きやすいと言う意味でも不親切だと感じます。
このような勘違いが無いように、僕の店では「お客さんへの説明」や「カウンセリング」に重点を置いています。
酸性ストレートパーマは髪にやさしいのか?
酸性ストレートパーマというメニューもよく目にしますが、「酸性」と付くだけで、なんだか髪に優しい感じがしますよね?
これは小学校で習う、ph(ペーハー)のことなんですが、肌が弱酸性というのは皆さんご存知かと思います。このイメージがあるので、「酸性」が「やさしそう」に繋がります。
現に、髪のphも弱酸性になっており、正確には「健康な髪でph4・5〜5・5」とされています。
基本的に、縮毛矯正の薬剤はアルカリ性のものがほとんどです。
(以降、縮毛矯正とストレートパーマを同一のものと考えます)
ですが、酸性ストレートパーマで使用する薬剤は、「限りなく中性に近いもの」しかありません。
科学的にphが酸性のものは、あまり一般的ではないのが事実です。
そして、「限りなく中性に近いもの」もしくは「酸性」の薬剤を用いて、髪をまっすぐにしようとしても、出来ないのが現段階の科学です。
髪の形状を変えるには、アルカリ性のチカラを使わなくては不可能なんです。
僕は以前、「酸性ストレートパーマ」に魅力を感じた事があり、いろいろな講習に参加し、勉強しましたが、誰のどんな講習に行っても「自分の店のメニューに取り入れる」という気持ちになる程の成果は見られませんでした。
ひどい場合は、「講師が講習の場で大失敗する」ということもありました。
僕の店に来てくれるお客さんの中にも、他店で「酸性ストレートパーマ」をして、髪がチリチリになってしまった方も多く来店されています。
酸性ストレートパーマは、机上の空論で現実的には不可能な施述です。
よって、この場合も「名前のイメージだけ」が先行してしまい、実際に行っていることは、普通の縮毛矯正となんら変わりません。
今日はシャンプーしないでくださいね?
縮毛矯正をした日に「今日はシャンプーしないでください」と言われた経験はありませんか?
昔は、こんな事を当たり前のように言っていましたが、今どきこんな事を言ってる美容師は信用なりません。
縮毛矯正は2剤(最後につけられる薬剤)で、まっすぐの状態を定着させます。
この2剤というのは「酸化剤」であり、髪を酸化させる事によって、定着させる必要があるんです。
この「酸化」を考えて、「空気中の酸素でも酸化する」という発想から、「24時間髪を洗わないで下さいね」とか「今日はシャンプーしないでくださいね」と言われていたんです。
ですが、現在の毛髪科学では、「髪は空気酸化しない」と結論付けられています!
空気に髪が触れているだけで「髪が酸化」してしまっては、なにもしてなくても髪がボロボロになる。という事ですからね。
ちょっと考えれば分かりそうな事なんですが、昔は髪の空気酸化を本気で信じていたようです。
シャンプーをした事によって、縮毛矯正の効果が薄れてしまう(とれてしまう)ということは、絶対にないです。
もし、シャンプーしたことによって、効果がなくなったと感じた場合は、美容師による「酸化不足」というミスと断言できます。
これを言い訳にする美容師も多いですが、プライドが高い美容師の「逃げの一手」です。
僕は、「その日にシャンプーしても、しなくてもどちらでもいい」とお客さんに説明しています。
自分で洗ったことで取れることはないのです。でも、僕がしっかりとシャンプーしたので洗い直す必要もないです。
という感じで、「どちらでも問題はなく、大丈夫です。」と勉強していれば言い切れるはずです。
「シャンプーしないでください」という答えは、勉強不足を語っているのと同じです。
まとめ
いかがでしたか?少しややこしい部分があったかと思いますが、違いについて理解してもらえたでしょうか?
簡単にまとめると、このような感じです。
・ストレートパーマと縮毛矯正は「同じもの」で、薬剤・工程・効果の違いはない
・両方のメニューがある場合は「アイロン工程」の有無の違い
・酸性ストレートパーマは、実際には「酸性」ではない
・美容院のメニューの名前には意味がない
・その日にシャンプーしても全く問題はない
名前に惑わされないで、本質を見抜くチカラをお客さん側である「あなた」がつけることで、あなた自身の髪を守ることができます。
耳障りの良いメニューほど、「裏」があるので、気になることがあれば、担当の美容師に聞いてみましょう!
難しい用語を多用して説明してきた場合は、ちょっと危ないかもしれませんね。
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